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House*ware*House

"雑貨の家"

海南市に建つ日用雑貨を扱う企業のバイヤー向けショールーム。
海南市は、棕櫚加工等の地場産業から発展した家庭用品の一大産地であり、そうした企業が多数集積しており、例年秋口には合同商談会が開催され、毎年全国から多くの企業バイヤーが訪れます。周辺は、田畑が広がるとともに住宅や物流施設など大小の建物が混在しているにも関わらず、不思議と違和感なく背景の山並みとともにのどかな風景を形成しています。 クライアントからは、自社商品のPRとともに企業イメージの醸成・発信に繋がる建築を期待されました。敷地は本社オフィスから100m程離れた場所にあり、所要室として商品展示室、2つの商談室、デザイン室(企画・デザイン課の事務室)などが求められました。


私たちは、アプローチとして、ここでの一連の行為を情緒的に捉え直すことで、この地に相応しい企業活動の場を創出できればと考えました。つまり、ショールーム(=企画デザイン→展示→商談の場)を”雑貨の家(=雑貨が生まれ、育まれ、巣立つ場所)”と読み替えて計画を進めました。
具体的には、外形は周辺の環境と呼応するシンプルな家型のヴォリュームを与えつつ、内部においては雑木林ならぬ”雑貨林”を形成する、3つの家型がくっついた910mmピッチの林立フレームが支える一室空間を試みています。このフレームにより一室空間の中に3つのゾーンが生まれます。雑貨林の下、様々なアイディアが芽吹き(企画・デザイン)、果実としての商品が実り(展示)、そして収穫される(商談)。そうした一連の行為は、相互に働き掛け、活性化され、そして循環します。


”雑貨の家”は、建築であると同時に一つの物語でもあります。 ここでは、訪れる方々は皆この物語を紡いでいく登場人物となります。 建築に添えられた詩情性が、場所と人と建築を結びつけ、土地に根ざす企業活動の促進に繋がればと考えました。

所在地:和歌山県海南市
主要用途:ショールーム・事務所
構造・規模 : 鉄骨造・2階建
敷地面積:329.15m2 
延床面積:405.90m2 
撮影:松村芳治

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