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On-HOUSE

"複数の領域が重なり合うワンルーム空間"

計画地は、南側が校庭に面した南東角地という好立地であった。周辺は、大半が大小の集合住宅で占められるが、それらが適度な間合いを取りながら緑とともにゆったり建ち並ぶ良好な住環境が形成されている。 そこに、ご夫婦とお子さん2人、奥様のお母様の5人が快適に暮らせる2世帯住宅への建て替えを要望された。建て替え前は、別用途だった建物を改造して暮らされていたこともあり、共有スペースとプライベートスペースが区分なくワンルームの中で雑多に展開されていた。お子さんたちの個室への憧れやワンルーム故の不自由さはあるものの、同時に、時々に応じて互いが一つの場を共有しながら生活することの意義も感じておられた。私たちは、課題の解消と立地を活かすことを念頭に、ご家族を育んだこの部屋割りに規定されない自由さを、新たな空間のアイデンティティーとして再構築できないかと考えた。そこで主階となる2階を、3つの建築的要素に還元して構成することを試みた。

1、東西に通る2列のパーティションラインによる区分可能な3スペース。
2、南北の明暗環境に対する光の吸収・反射を意図した対照的な仕上による2ゾーン。
3、規則的(910ミリピッチ)に林立する露出木架構の存在。

これらによるズレを伴った各領域を重ね合わせるとともに、それぞれの境界を滑らかに繋ぐよう納めた。その結果、明快な構成であるにも関わらず、どの要素に意識が向かうかで空間認識が常に揺れ動く多様に解釈可能な場が生まれた。共有 /プライーベートの各スペースは整理されつつもその境は曖昧化される。 自立した各要素が互いの領域を浸食し合いながら同居するこの独特の一室性は、ご家族の価値観の投影として浮かび上がる。

On-HOUSE 生成ダイアグラム

家族構成:夫婦+子供2人+祖母
構造・規模:木造2階建
敷地面積:132.78m2
延床面積:129.63m2 
撮影:Stirling Elmendorf

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